さて、前回の記事([職務経歴書の書き方3] より伝わる文章パターン4例(例文つき))で職歴欄はいったん終了し、続いては「スキル、資格」欄の書き方となります。
職務経歴書では、職務概要、職歴を書いた後に、一般的には「活かせる経験・知識・技術」といった欄を設けます。
ここでは、職歴で書けなかったスキル面での補足や、保有している資格などもアピールが出来ます。
一見、大きなアピールの出来なさそうな印象を受ける欄ですが、ここも書き方一つで、思わぬアピールをできる可能性を持ちあわせています。
「スキル・資格欄のアピール力を上げる書き方例」をまとめました。
「活かせる経験・知識・技術」の例文
まずは例文を挙げてみたいと思います。
・3D-CADソフト:Solidworks,CATIA-V5
・2D-CADソフト:AutoCAD
・強度試験に関する経験、知識
■保有資格
・技術士
このように、自信を持って話せるスキルや資格、使えるソフトなど、アピールになるものを箇条書きに書くのが一般的な記述です。
しかし、このままですと履歴書に書いた内容とあまり大差がなく、どうしても補足的な書き方となってしまう事も。
せっかく職務経歴書という自由な書き方ができる書類ですので、その利点を活かした書き方に変えていきますとプラスのアピールとなります。
まず資格については、書ける物はしっかり書き込む事がポイント
資格の欄につきましては、履歴書と違って、枠に文字数や行数の制限がありません。
そのため、書いてアピールになるものは全て書く方がプラスになります。
自動車免許はもちろん、金融系であれば数多くの資格を取得する事になるかと思いますので、これらも網羅しておきましょう。
多数の資格持ちの方は、この欄をフル活用する方が「勉強熱心」という印象を与える機会にもなります。
書ける資格が少ない場合は、「知識」「技術」の枠をフル活用する
ITや金融のように、仕事上、嫌でも多くの資格を取らなければならない業界もあれば、1~2種類の資格で十分に活躍できる業種も多数あります。
このような場合、資格欄がどうしても薄く見えてしまう書き方になりがちです。
<避けておきたい書き方例>
■活かせる資格など
2008年4月 普通自動車免許
2015年1月 TOEIC 500点
この例のように、書ける内容が短くなってしまいますと、やはり履歴書でわかる範囲ですので、あまり追加のアピールになりづらいのが実際です。
しかし、この欄をしっかり活かす方法は、資格ではなく、その次にあります。
それが、より積極的なアピールになる、「知識」「経験」を書き込む形です。
「知識」「経験」の欄は書き方が自由! ぜひフル活用を!
履歴書の資格欄は、文字通り、公的な資格しか書く事が出来ません。
そのため、公的資格が少ない場合に、アピールにつながらないという悩みを抱えてしまいがちです。
しかし、職務経歴書は違います。
職務経歴書の「活かせる経験・知識・技術」欄は公的な資格以外を書く事も可能です。
つまり、公的な資格でなくとも、「〇〇の知識」や「△△の業務経験」など、仕事上で得た経験や知識を詳しく書き込む事が出来ます。
仕事をすれば、その分、その業界や製品についての知識は深まります。
そこから得られる業界知識、商品知識はそのままアピールとして書く事が出来ます。
・大手コンビニ店長職の経験者の場合
→商品陳列に関するノウハウ、販促に効果的なレイアウト検討、季節にあわせた発注、在庫管理ノウハウ
→定着率の高い採用ノウハウ、人材の効果的な育成方法検討
・金融商品の飛び込みの営業マンの場合
→投資信託、株式、不動産投資信託(REIT)商品の知識全般
→顧客のニーズにそった運用方法の提案力
→高い成功率を出す新規開拓ノウハウ
→信用獲得のためのアフターフォロー経験
・人事で採用業務の経験者の場合
→高い反応率を出す媒体の選別、検討ノウハウ
→より自社の求める人材を集めるための募集要項の作成法
→WEBサイト、SNSを活用した応募者との密なコミュニケーション構築の経験
→SPI、筆記試験ではわからない部分を詰めるための自社製試験の問題作成
これらの例のように、自分で「~のノウハウ」といった形でまとめる事が出来れば、どんな形でも書く事が出来る、というのが最大のメリットです。これは履歴書の資格欄では絶対にできない書き方となります。
自分の業務を「○○力」「△△のノウハウ」「××の経験」でキャッチコピー化する
こういった業務知識や経験をアピールする時に、もっともシンプルで作りやすい方法は、「~力」や「~のノウハウ、経験」などの伝わりやすい形で、キャッチコピーのように書いてしまう方法です。
先ほどの例でも、コンビニ店長の経験者なら、陳列業務や発注、在庫管理は誰もが経験しているはずです。
しかし、それらを証明する公的な資格はありません。
履歴書の資格欄には、それらをアピールする書き方が出来ませんので、そこを職務経歴書の「活かせる経験・知識・技術」で書く事がポイントです。
キャッチコピー化の手順
では具体的に、自分の仕事をどう「キャッチコピー化」するのか、ここがポイントです。
方法は様々ですが、やはりシンプルに文章化しやすいのは、以下のような方法になるかと思います。
1.まずは自分の仕事内容をしっかり書けるだけ書きだす
2.書き出した仕事内容を、より細かく細かく分解する。(なるべく細かくするのがポイントです)
3.「~力」「~のノウハウ」「~の経験」とつける(応募先の仕事に応用できそうな物を選ぶのも重要です)
4.重複している物は省略し、なるべく幅広い経験があるように魅せられるよう選ぶ(多すぎるとアピール過多になりますので、3つか4つ程度)
<ポイント!>
職務経歴書の職歴欄は、自身のメイン業務の経験を書くのが王道です。
逆に、この「活かせる知識・経験」欄は、メインではないサブ業務と言える部分を網羅すると、より幅広いキャリアを持つように魅せる事が出来ます。
例えば、営業職の場合ですと
営業成績にまつわる事は職歴欄で書くのがセオリーです。
逆に、中途採用の面接や、後輩の育成、社内のシステムの導入や、仕事に関連する法律の勉強、語学の勉強など、営業成績以外の部分でアピールしたい内容をまとめますと、自分の持っている経験や可能性を網羅できる形になります。
知識、経験欄のBefore→After例
<アピール不足になりやすい例>
PCスキル Word、Excel
■資格
2010年3月 普通自動車免許
<よりアピールになる書き方例>
■活かせる経験・知識・技術
・販促に効果的なレイアウト検討の経験
:店舗レイアウトの変更による売り上げアップを達成
・発注、在庫管理ノウハウ
:廃棄率を大幅に下げるための来客見込み、売り上げ見込みの精度アップ
・語学力
: 英語での簡単な接客対応、電話応対、メール対応
・即戦力を育成する人材活用ノウハウ
:定着率の高い若手を見分ける採用法、モチベーションを維持する教育法等
■資格
2010年3月 普通自動車免許
まとめ
「活かせる経験・知識・技術」の欄は、履歴書の資格欄とは大きく性質が異なります。
単に資格を書くだけではなく、職歴欄ではアピールできなかった部分を、まとめてアピールできる絶好の欄となります。
自分の経験や知識をシンプルなキャッチコピーにして書きあげる事で、さらに伝わる職務経歴書にする事が可能です。